第3回 合理的なはずの人間がなぜ非合理な行動をとるのか？

はじめに

私たちは、常に論理的に考え、合理的な判断を下していると思いがちです。しかし、実際には、感情や直感に左右され、非合理的な行動をとってしまうことが多々あります。

行動経済学は、このような人間の非合理な行動を解明し、より賢く、より良い意思決定を行うための指針を示す学問です。

非合理な行動の背景にある心理メカニズム

人間は、以下の心理メカニズムの影響を受け、非合理的な行動をとることがあります。

• 認知バイアス: 思考の偏り。例えば、アンカリング効果（最初に提示された情報に引っ張られる）、フレーミング効果（問題の提示方法によって判断が変わる）、過剰な自信（自分の能力を過大評価する）などがあります。

• ヒューリスティック: 直感的な判断、ショートカット思考。例えば、代表性ヒューリスティック（典型的な例で判断する）、利用可能性ヒューリスティック（思い浮かべやすい情報を重視する）などがあります。

• 情緒の影響: 損失回避、リスク回避、感情的な判断など。例えば、損失回避（利益よりも損失を大きく感じる）、リスク回避（リスクを避けようとする）、感情的な判断（感情に流されて判断する）などがあります。

事例

• 衝動買い: 割引セールや限定商品につられて、本来必要のないものを買ってしまったり、予算オーバーしてしまうことがあります。これは、アンカリング効果や損失回避の影響によるものです。

• 投資判断の失敗: 損失を恐れて損切りできず、損失を拡大させてしまうことがあります。また、過剰な自信からリスクの高い投資をしてしまい、失敗してしまうこともあります。これは、損失回避や過剰な自信の影響によるものです。

• 意思決定の誤り: 問題の提示方法によって、異なる判断をしてしまうことがあります。例えば、同じ問題でも、「90%助かる」と提示されると、「10%失敗する」と提示されるよりも、治療を受けようとする人が多くなります。これは、フレーミング効果の影響によるものです。

行動経済学：人間の非合理な行動の理解と克服

行動経済学は、人間の非合理な行動を理解することで、より賢く、より良い意思決定を行うための指針を示します。

例えば、以下のことが重要です。

• 自分の認知バイアスやヒューリスティックを認識する

• 感情に流されない

• 複数の選択肢を比較検討する

• 情報収集を怠らない

• 専門家の意見を参考にする

まとめ

人間は、必ずしも合理的ではなく、非合理的な行動をとってしまうことがあります。行動経済学を理解することで、こうした非合理な行動の背景にある心理メカニズムを知り、より賢く、より良い意思決定を行うことができるようになります。