動物愛護における欧米と日本の違い。そして動物愛とは

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JAL機のペットの件で、ペットも客室に載せろと言う署名運動が起きているそうですが、正直「正しく動物愛護を理解している」なら、そんなことを言い出さないはずですね。
人間社会の中での動物さんは、以前にも書いたとおり「家財」です。
「家財」は所有者が責任を持つものであり、故にその手許を離れれば全て他の家財と平等となり、公共交通機関でその優先順位を主張するものではありません。
そういう意味で、「日本の動物愛護は欧米と比べて遅れている」等の言動も見られ、不勉強な言い分に頭が痛いです。

そもそも日本と欧米では、動物さんに対する視点が全く異なり、比較することは意味が無い、と私は考えています。
愛玩動物関連の団体は、欧米に追いつけ追い越せという風潮ですが、私はむしろ欧米から、日本に「ここが遅れている」などと言って欲しくないです。

欧米(もっと言うとキリスト教圏)での動植物の認識は、「神から与えられた資源」です。土地も環境も全て、「忠誠を誓った唯一神が用意してくださった賜り物」という考えです。
どのような「物」も、神の子で有る人間が自由にして良いのです。
それ故、彼らの動物愛護精神は、「人間であるなら、もっと霊長らしく生きよう(神から見て正しくない飼育をしているかもしれない)」という根本があってのことです。
鯨類が知性が高いと言って保護するのも、「神の子で有る我々が、知性有る動物を虐めては神が赦さないだろう」という所から来ています。
基本、人間本位です。
(だから自然災害でパニックになるのです。神がこんな不自然な環境を与えるはずが無い、と)

日本では、その風土と宗教的な歴史から、人間を含めた全ての動植物が連鎖している・繋がっているという考えが根本にあります。
私たち日本人は、自分が死ねば、もしかしたら何処かの犬猫に、何処かの樹や花に生まれ変わるかもしれない、という話に一定の理解を見ます。
それゆえ、普段から動植物との距離が近く、お互いを極端に区別せず、野生とも一定の距離を持って同居することが自然であると捉えます。
敢えて言えば環境本位と言える考え方とも言えます。
このある種のフラットさが、欧米諸国から見ると「なってない」と言われる所以になっているのです。

しかし、どちらが正解か、ということを論じるのも、それもまた人間本位、動物からしたら勝手な話です。
つまり、人間が社会を構築し、人間なりの縄張りを持つ以上、その境界線で動物(野生でも愛玩動物でも)の社会と拮抗し、互いが互いのルールに基づいて排除し合う構造ができるのは当り前で、故に昨年末話題になったような「熊の排除」問題も起きます。
そういう意味では、全て神の賜り物という認識で、世界中の動植物、時には「同じ」人間でさえ乱獲して滅ぼしてきた欧米の考え方の方が、よっぽど野蛮であるとさえ考えています。

そして今回の「ペットが貨物」の問題でも、海外で動物さんと客室で一緒に居られるのが欧米だ、ということで日本社会が遅れているという言説が多数見られますが、欧米的考え方が全てではありません。
考えが進んでいるか遅れているかではなく、我が国らしい「配慮」とは何かが問題です。
それに他の方も指摘していますが、そもそも動物を怖いと思う人、動物にアレルギーがある人も居ますし、例え飼い主の前では大人しいペットも、環境が違えば誰かに襲いかかる可能性もあります。
スタイルだけ決めればいいと言うものではありません。

これも多くの方が言われていますが、本当に動物さんが大事なら、信頼できる所に預けて離れるべき、という意見に私は同意します。
例として、今般の地震に関連すれば、同行避難をしたくてもできないなら、近くで機能しているシッターさんに預けるというのは、何ら問題ないのではないでしょうか。
そこで自分だけの動物愛を主張して、避難所のルールを乱す方が余程迷惑です。
日本社会は多数側の意見に対して付和雷同だと言われますが、特殊環境(避難所しかり飛行機内しかり)においては、集団ルールに従う事こそが秩序を維持することです。そしてそれこそ動物さんを守る事です。
欧米では(スタイルとして)個人の権限が保障されるべき立場から、飼い主が同行を主張すれば受け入れる(受け入れざるを得ない)形になりますけれど、それが日本の風潮に合わないなら採用するべきではありません。
(そもそも彼らの「個人の尊重」自体、人は(=私は)神に全て保障された者であるから、その権利を侵さざるべからず、という所から来てるので、我々の思い描く「個人の尊重」とは全くズレてます)

例え欧米諸国から何を言われようと、集団の中で互いを尊重し、ある空間の中であっても人も動物もそれなりに近しい存在、という考えでやってきた我が国の歴史が、遅れてるとか間違っているとは、私は考えません。
皆さんも今一度頭を冷静にして、日本らしい動物愛護・動物を守るということはどういうことかを考えてはどうかと思います。
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